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2022.11.04

急傾斜地の園地を引き継ぎ、規格外フルーツの6次化も達成。6代目農家夫婦の挑戦が生んだ果樹加工品【認定品生産者|まるく農園】

山間の急傾斜地で行われる果樹栽培は、平地にはない苦労の多い農業です。手間暇かけて育てた果実を、収穫間際に野生動物に食べられたり。味は美味しくても、形や重さ、タイミングが少しでもずれると「規格外」となり、売場に並べられずロスになったり。その難しさから引退する農家も少なくなく、担い手のいない園地が増えています。これらの問題に柑橘栽培と6次産業化で立ち向かう農家が、三豊市仁尾町にいます。

規格外ロスや耕作放棄地……。果樹栽培は困難が多い

日本のウユニ塩湖と称され観光客に人気の仁尾町「父母ヶ浜」。美しい海岸から振り返れば、山間には柑橘の園地が広がっています。仁尾町曽保地区は、太陽のめぐみを一面に受ける急な斜面と、瀬戸内海に面した立地のおかげで、柑橘栽培が盛んです。江戸時代から続く歴史ある農家の6代目である組橋さんご夫婦は、この地区でみかんやキウイフルーツなどの栽培を行っています。10年前から「まるく農園」として県内小売店などへの青果販売を進める一方、規格外品のロスや耕作放棄地など、柑橘栽培の抱える困難を目の当たりにしていました。

「以前は栄養士として働いていました。結婚して農家として働く中で、いつか自分たちのフルーツで加工品を作りたいという想いをずっと持っていました」(妻・愛子さん)

妻の愛子さんは、夫の聖司さんと農園を営む中で、自分で加工品を作りたいと考えていました。加工品なら、青果であればロスになってしまう規格外品を活用し、フルーツの新たな楽しみ方を提案できます。ご縁があってドライフルーツの加工業者さんと出会い、みかんやキウイフルーツを使ったドライフルーツを開発・商品化することになったのです。
太陽と海が近い三豊市仁尾町

規格外フルーツの完熟の甘味を生かす

「まるく農園 完熟ドライフルーツ」は、組橋さんご夫婦が育てたフルーツをじっくり低温乾燥させた一品。無添加のため、果物の自然な甘さを味わうことができます。緑のキウイフルーツ、香川県オリジナル品種のキウイ「さぬきゴールド」、味の濃いみかん「たまみ」を使用しています。

まるく農園では、傷や変形などの理由から規格外となったキウイフルーツを使用し、一番おいしい完熟の状態を一つひとつ見極めて加工しています。生のフルーツは美味しく食べられる期間が短いですが、ドライフルーツにすることで、キウイの甘味が最高点に達する瞬間を長く届けることができます。

たまみは、皮ごと輪切りにしてドライ。砂糖などを一切加えていないため、たまみの特徴である香りや濃い味を楽しむことができます。そのままでももちろん、お水に入れてフルーツウォーターにしたり、紅茶に入れてフルーツティーにしたりと、さまざまな楽しみ方ができるそう。

フルーツ栽培につきものである、規格外ロスという悩み。売場に並ばず食卓に届けられていないおいしさを、ドライフルーツという新たな形で楽しんでもらうことができています。
規格品も規格外品も、手間暇かけて育てた自慢の味
そのまま食べてもよし。フルーツウォーターにしても、サラダと合わせたりも

耕作放棄地対策で新たにレモンを育て、伝統ある高瀬茶とコラボ

また、まるく農園では、後継者のいない近隣の農家さんから農地を引き継ぎ、大小90ヶ所以上の農地を手掛けています。その一部で、聖司さんは新たにレモンの大規模栽培を開始しました。

「耕作放棄地が増えることは、その地域の農業者が不便・不利になることにつながります。新しく農業を始めたい人がいたとしても、それが難しくなってしまう原因になるんです。レモンは温暖な瀬戸内海の気候と相性が良いため、耕作地の保全と掛け合わせて活用し、地域農業を残していきたいと思っています」(聖司さん)

2019年に定植し、3年目でやっと出荷できるレモンを収穫できるようになりました。このレモンと日本有数の茶所である三豊市高瀬町の高瀬茶とコラボしてできたのが「新緑のグリーンティー」です。高瀬茶のティーバッグとまるく農園の乾燥レモンがセットになっており、水だしすることで、カフェインレスの爽やかなグリーンティーが楽しめます。

コラボ相手の高瀬茶は三豊市の特産品のひとつですが、ファンは年配の方がメインです。

「昔はお茶を茶葉で入れて飲む習慣が当たり前でしたが、ペットボトルのお茶の普及で消費量が減っています。グリーンレモンティーを通して、若い人にも茶葉の美味しさを知ってもらうきっかけになれば嬉しいです。」(高瀬茶業組合 荒木さん)
引き継いだ園地では今、たくさんのレモンが実る

まるく農園のめざす未来

農家同士、生産者同士助け合い、地域で新たな取組が次々と生まれる。組橋さんご夫婦は、その中心的存在です。今後の展望と三豊の農業の未来について、どのように考えているのでしょうか。

「農業も日本の産業の一つです。“産業としての農業”を成り立たせていきながら、地域の風景を残していきたいと思います」(聖司さん)

伝統ある農家から生まれた新しい商品は、着々とファンを増やしています。社会的・環境的価値の高い取組を実践している生産者が生んだ地域産品をチョイスすることは、地域の個性を愛し、農畜水産の未来をつくる一助となります。応援していただける方は、ぜひまるく農園の商品をチェックしてみてください。

三豊市は、「まるく農園 完熟ドライフルーツ」と「新緑のグリーンティー」を三豊市の地域産品「みとよのみ」に認定し、その農畜水産の未来をつくる社会的・環境的価値のある取組を応援しています。

商品情報

まるく農園 完熟ドライフルーツ
保存料・着色料不使用。
一番おいしい完熟の状態を見極めたドライフルーツ。
自然豊かな三豊市仁尾町にある「まるく農園」で一つひとつ丁寧に育てたキウイやみかんを、一番おいしい完熟の状態でドライフルーツにしました。お砂糖などを一切使用しない、果物そのもののおいしさがたっぷり詰まった完熟ドライフルーツです。
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新緑のグリーンティー
仁尾レモンが伝統ある高瀬茶とコラボ。
水出しで爽やかなリラックスタイムを
自然豊かな三豊市仁尾町にある「まるく農園」で、一つひとつ丁寧に育てたレモンを無添加でドライにし、三豊の銘茶・高瀬の煎茶と合わせました。手軽につくれる、爽やかな水出しのグリーンレモンティーです。お食事中やリラックスタイムにどうぞ。
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販売場所

百歳書店(三豊市仁尾町父母ヶ浜)
地域交流拠点 箸蔵とことん(徳島県三好市)

生産者情報

取扱店

まるく農園

所在地

〒769-1408 香川県三豊市仁尾町

SNS

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まるく農園 facebook

※最新情報は直接店舗にご確認ください

Writer
みとよのみ広報
三豊市農林水産課

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