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2022.11.19

みんなで食を楽しめるように。農業×アレルギー対応から始まる新しい農業モデル【認定品生産者|ハラシモベース】

食べられない食材はありますか?食品アレルギーや宗教上の理由で、食に制限のある方は少なからずいます。幼少期に食べられないものがあると、お子さんも親御さんも大変です。いろいろな味を知る楽しさや、みんなと同じ食を囲む体験をできないお子さん。そのお子さんのために、試行錯誤と手間暇をかけて食事やおやつを手作りする親御さん。当事者の方なら、特にその大変さがわかるはずです。この課題に立ち向かい、農業を営みながら乳製品・小麦・卵不使用のお菓子を開発する農家が、三豊市高瀬町にいます。

“誰かに求められる食べ物”をつくりたい

三豊市高瀬町の山間地にある原下(はらしも)という小さな集落。ここで「ハラシモベース」の屋号で農業を営む細川さんご夫婦は、桃や柿などをはじめ、キャベツ、水稲、玉ねぎなど、数々の作物の栽培を手掛けています。農業をはじめて数年たった頃、さらに面白いことに挑戦したいと考えた細川さんは、自分たちの育てた作物を使った加工品の開発に着手。5〜6年ほど取り組んでいましたが、なかなか軌道に乗りません。細川さんは、お子さんが乳製品や卵のアレルギーを持っており、当初はそれらを使う加工品を自然と避けていました。

「ジャムなどいろいろ試しましたが、どれも“誰かに望まれてつくった商品”ではありませんでした。どこにでもある商品では、お客様に選んでもらえません。あるとき、ずっと乳製品や卵を使わない加工品ばかり考えていたことに気づきました。自分たちと同じように、アレルギーで悩んでいる親や子どもたちのためになるものを作ろうと思いました」(細川さん)

​アレルギーがあるから諦めるのではなく、アレルギーがあっても楽しめる商品をつくりたい。アレルギーの有無にかかわらず、味の豊かさや食の楽しみを体験してほしい。細川さんは、誰かに求められる価値ある商品をつくろうと、保存料や着色料を使用しないアレルギー対応のスイーツブランド「CHOU(シュー)」を立ち上げました。その第一弾商品として誕生したのが「100%SOYヴィーガン生キャラメル」です。
約100年前に開墾されたというハラシモベースの園地

みんなが旬の味覚を味わえる生キャラメル

100%SOYヴィーガン生キャラメルの大きな特徴は、「乳製品不使用・グルテンフリー・卵不使用であること」と「季節ごとに旬の野菜や果物を練り込んでいること」です。

一般的なキャラメルは乳を主原料としていますが、CHOUのヴィーガン生キャラメルは大豆由来の豆乳生クリームを使用。小麦由来の成分「グルテン」も含まれていません。

また、ぶどうや柿、桃といった果物を練り込んだ「山」タイプ、キャベツやトマト、さつまいもといった野菜を練り込んだ「畑」タイプを、春夏バージョン・秋冬バージョン用意しています。これらの食材はハラシモベースで採れたもののほか、地元の若手農家から購入した規格外品(通常ロスとなる食材)を使用。農家のフードロスを減らしながら、1年中豊かな味わいを楽しめるキャラメルに仕上がっています。

アレルギーがある人もない人も楽しめるCHOUの生キャラメルは、贈り物としても人気です。

「子どもにお菓子をいただくとき、親御さんは『うちの子アレルギーがあるので……』とはなかなか言いづらいと思います。以前、子どもにアレルギー対応のお菓子をいただいたとき、その気遣いがすごく嬉しかったんです。CHOUのお菓子も、そんな優しさや気遣いを伝えるプレゼントとして選んでもらえたらと思います」(細川さん)
旬の作物を練り込んだ、色とりどりの生キャラメル
山の味覚を練り込んだ「フルーツ」、畑の味覚を練り込んだ「ベジタブル」の2種類がある

農業×〇〇で、農業の新しいモデルをつくる

細川さんは、加工品の製造のほか、農業体験のプロデュースや地域のレストラン事業に携わるなど、農業の枠を超えて活動しています。ヴィーガン生キャラメルのレシピも、別事業で出会った食品関係者さんと共同開発したもの。さまざまな業種の事業に自ら関わりに行くことで、多様な人との出会いがあり、本業である農業に還元されることもあるそうです。

「農業をもっと面白くしたいと思った数年前、別業種の経営者の話を聞いて回り始めました。新しい事業を考えどんどん実行していく他業種の様子を見て、それまでの自分の視野の狭さに気づいたんです。加工品をはじめいろいろなことに実験的に取り組んでみて、ゆくゆくは他の農家さんにもノウハウを共有していきたいと考えています」(細川さん)

農業にとどまらない領域で実践を積み重ね、農作物をつくるだけではない、新たな価値を創造している細川さん。アレルギーのある方に寄り添う生キャラメルの開発は、その第一歩です。他事業に関わる農家がまだまだ少ないからこそ、何事にも実験的に取り組み自分自身がモデルケースとなることで、今後農業を始めようとする人の参考になれば、と細川さんは話します。
詫間町にある元酒蔵「三豊鶴」の運営にも参画している

ハラシモベースのめざす未来

ヴィーガン生キャラメルの開発など、農業にとどまらず「農業×〇〇」の価値発揮に挑戦する細川さん。今後の展望をどのように考えているのでしょうか。

「農業の“関わりしろ”を、農業の外に作っていく。これがハラシモベースのポリシーです。新しいアレルギー対応商品の開発や、野菜のブランディングなど、ビジネスも重視しながら農業を続けていきたいと思います」(細川さん)

農業×アレルギー対応で開発されたハラシモベース「CHOU」の商品は、みんなで楽しめるおやつとして人気が高まっています。社会的・環境的価値の高い取組を実践している生産者が生んだ地域産品をチョイスすることは、地域の個性を愛し、農畜水産の未来をつくる一助となります。応援していただける方は、ハラシモベースの商品をチェックしてみてください。

三豊市は、「100%SOYプレミアム生キャラメル(フルーツ・ベジタブル)」を三豊市の地域産品「みとよのみ」に認定し、その農畜水産の未来をつくる社会的・環境的価値のある取組を応援しています。

商品情報

100%SOYプレミアム生キャラメル(フルーツ・ベジタブル)
みんなで同じものを食べる喜びを。
アレルギーに悩む子を持つ農家がつくったヴィーガン生キャラメル
アレルギーの有無に関係なく、一緒に食べて「美味しい」と言えるヴィーガン生キャラメルです。乳製品、卵、小麦、保存料・着色料不使用。大豆由来の原料をベースに、自家農園ハラシモベースで採れた季節ごとの野菜や果物を練り込んで作られています。どんなアレルギーがあるかわからない相手への手土産として、子供のご褒美として、デスクワークのおやつなどでお楽しみください。2021年県産品コンクルールにて優秀賞を受賞しました。

販売場所

百歳書店
良心市たかせ
DEMI 1/2
栗林庵
まちのシューレ963

生産者情報

生産者

ハラシモベース

エリア

高瀬町

手がけるみのり

柿、桃、キャベツ、玉ねぎ、たけのこ

解決課題

食のバリアフリー、アレルギー対応、半農半X

所在地

〒767-0014 香川県三豊市高瀬町上麻1452-1

連絡先

Tel 090-1001-8757

ホームページ
Writer
古市 綾美
三豊市農林水産課 地域おこし協力隊
三豊市出身。関西でWEBや広告の企画・制作を経験した後、2022年8月にUターン。三豊市の農林水産物のプロモーションを担当しています
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