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2022.11.04

農家の収益UP、鍵は“産地化”。にんにく専門農家がめざす香川にんにくのブランド確立【認定品生産者|白川農場】

スーパーに並ぶ国産野菜、高いと思いますか、安いと思いますか?できれば安くて安全なものを……とは思いますが、野菜もタダでは育ちません。肥料や人件費、鳥獣害対策などのコストはもちろん、天候や災害の影響を大きく受ける農業は、経営の不安定さや収益性の低下が課題となっています。安定した収入を得ることができなければ、農業をしたいという人も減り、ついには新鮮な野菜が食卓に並ばなくなる日が来るかもしれません。この課題に対して、にんにくを題材に農家の収益性の向上をめざす専門農家が、三豊市高瀬町にいます。

農家の時給は180円?農業を“食べていける産業”にしたい

香川県の生産量の9割を占めるお茶をはじめ、野菜やフルーツなどさまざまな農業が営まれている三豊市。その中の高瀬町麻地区は、朝夕の温暖差があり農業に適した集落です。もともと会社員として働いていた白川さんご夫婦は、夫の大輔さんの実家の農地を引き継ぎ、2008年から専業農家「白川農場」としてにんにく栽培を始めました。

「農業を始めた当初、テレビから『農家の仕事を時給換算すると180円』と聞こえてきたんです。衝撃を受けたのと同時に、これまでやってこられた農家さんの凄さを感じました。地域の農家さんが農業を生業として続けられるようにするためにも、手を打たねばと思いました」(代表・白川大輔さん)

当時、実は香川県はにんにくの生産量全国2位。ただ、にんにく産地として有名な1位の青森県とは大きな差が開いていました。白川さんは香川で育てた自信あるにんにくを全国各地へ売り出しに行きますが、思うように受け入れてもらえません。青森のにんにくは認知度があり良い価格で取引される一方、香川のにんにくはほとんど知られておらず、選ばれづらかったのです。“産地ブランド”の強さを目の当たりにした白川さんは、他県に負けない香川のにんにくを適正価格で流通させられるよう、香川にんにくの産地化をめざすことにしたのです。
手間暇とコストをかけて育てたにんにくを知ってもらいたい

年中楽しめる加工品で、香川にんにくの認知を高める

産地化に向け白川農場が取り組んでいるのは、栽培面積の拡大や品質向上のほか、にんにく加工品の開発、出荷時の一時加工の工夫、香川のにんにくとしての価格を一定にする値付け活動など、多岐に渡ります。

特に、にんにく加工品に関しては、自社加工場を設けるなど力を入れています。にんにく栽培は約8ヶ月かかり、収穫は年に一度きり。新鮮なにんにくを食べられる期間は限られています。香川のにんにくを認知してもらい、たくさんの方にその美味しさを実感してもらうためには、時期を問わず味わえるにんにく加工品を開発することが必要不可欠でした。

代表的な商品が「甘熟黒にんにく」です。白川農場で育った暖かい気候を好む香りのよいにんにくを40日間じっくり低温熟成させることで、甘味が強く、濃厚な味わいに仕上がっています。黒にんにくには手軽に栄養を取り入れたい、健康を維持したいという年配のリピーターがたくさんいる商品です。

主婦層に人気なのが「きざみにんにくオリーブオイル」です。生のにんにくは日ごとに鮮度が落ちるのに加え、刻むとまな板や手に香りが移ってしまうなど、扱いの難しい食材です。白川農場のにんにくオイルは、新鮮なにんにくを刻んでオリーブオイルに閉じ込めており、スプーンですくっていつでも好きなだけ使うことができます。主婦の悩みに寄り添った商品は、味はもちろんその便利さが大人気です。

にんにく専門農家が生み出したにんにく加工品を通して、今やたくさんの方が香川にんにくを楽しみにしています。
約8ヶ月かけて育て、収穫は年に1度きり(5月)
黒にんにくは、酸味や苦みはなく、ドライフルーツのような感覚

健康の大切さを知っているからこそ、お客様を心から想う

白川さんご夫婦がにんにくを選んだ理由の一つは、ご家族の病気でした。「家族の元気を補いたい、家族が安心して食べられる美味しい野菜を作りたい」という想いが原点となり、健康維持に定評のあるにんにくで農業をスタートしたのです。その想いはもちろん、お客様にも向けられています。

商品発送の際には、手作りの「にんにく農家の元気だより」を一緒に送ります。にんにくの生育の様子や商品にかける手間暇をリアルに伝えるもので、スタッフの吉本さんが毎月手書きで作成しています。お客様へと想いを馳せ、コミュニケーションをとる大切なツールです。

「リピーターのお客様から電話でご注文いただく際、『元気になったわ』『風邪引かんようになったんや』と言っていただけるんです。その声を聞けるときが一番の喜びです。私たちのにんにくを通して、たくさんの方に元気になってもらいたいです」(妻・洋子さん)
「にんにく農家の元気だより」笑顔のスタッフからも元気をもらえる

白川農場のめざす未来

にんにく作りを通じてかかわるすべての人を豊かにすることを理念に掲げている白川農場。地域のにんにく農家も少しずつ増えています。改めて、にんにくづくりと農業の未来についての想いをうかがいました。

「これからも、にんにくの産地化に向け取組を続けていきます。香川のにんにくがブランドとして有名になれば、もっとたくさんの方ににんにくのパワーをお届けできると思います」(代表・白川さん)

妥協は一切なし。手間暇と愛情をかけてお届けする白川農場のにんにく商品は、根強いファンを増やしています。社会的・環境的価値の高い取組を実践している生産者が生んだ地域産品をチョイスすることは、地域の個性を愛し、農畜水産の未来をつくる一助となります。応援していただける方は、ぜひ白川農場の商品をチェックしてみてください。

三豊市は、「甘熟黒にんにく」と「きざみにんにくオリーブオイル」を三豊市の地域産品「みとよのみ」に認定し、その農畜水産の未来をつくる社会的・環境的価値のある取組を応援しています。

【商品情報】

甘熟黒にんにく
素材が持つ水分のみで40日間低温熟成。
にんにくを知り尽くす“専門農家”がつくる黒にんにく
晴天の日が多く雨量が少ない瀬戸内気候で約8ヶ月間かけて育てたにんにくを、独自の製法で40日間じっくりと熟成させました。甘味が強く、食後の臭いも生にんにくに比べて気になりません。抗酸化作用があるS-アリルシステインの含有量は 7mg/g、ポリフェノールの含有量は白川農場の生にんにくと比べ約10倍と高い、いわば“野菜サプリメント”です。1日1片~2片を目安にお召し上がりください。
きざみにんにくオリーブオイル
新鮮なにんにくを約3個分使用。
和洋中なんでもすぐに使える万能オイルで食卓にアクセントを
にんにく専門農家が手間暇かけて育てたにんにくを新鮮なうちに刻み、オリーブオイルとともに炊き上げた万能調味料です。面倒なにんにくの下処理を解消し、炒め物はもちろん、ガーリックトースト、魚の味付け、ポン酢と混ぜてドレッシングにも使えます。無添加で安心のにんにくオイルでさまざまなお料理をお楽しみください。
販売場所
※各店舗ごとに取扱商品の数量や種類に違いがございます。ご希望の商品を取り扱っているかどうか事前にご確認ください。

生産者情報

生産者

白川農場株式会社

エリア

高瀬町

所在地

〒767-0014 香川県三豊市高瀬町上麻3681

連絡先

0120-372-229

午前8:30〜午後5:00(水・土・日・祝は定休)

Writer
古市 綾美
三豊市農林水産課 地域おこし協力隊
三豊市出身。関西でWEBや広告の企画・制作を経験した後、2022年8月にUターン。三豊市の農林水産物のプロモーションを担当しています。
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